「ストレスとうつ」~カラダとこころのサイン
みなさんのココロの中に、ストレスを溜める「感情のコップ」があると考えてみましょう(笑)。
このコップの大きさは、みなさんの体験・経験によって人それぞれ違いますし、同じ刺激でも人それぞれストレスに感じたり感じなかったり、捉え方は様々です。
このコップには、「嫌だなぁ……」「つらいなぁ……」「苦しいなぁ……」などなど、負の感情が徐々に水のように蓄積されていきます。そして、ある程度溜まってくると、カラダが「お~い、無理してるぞ?!」と、様々なサインを出してくれます。この警告を鳴らしてくれるすばらしい仕組みが、よく耳にする「自律神経」です。
感情のコップの残高はどのくらい??
「自律神経」と聞くと、なんだか難しく聞こえてしまうかもしれませんが、一言で言うと私たちのカラダを勝手にコントロールしてくれる「自動操縦システム」(笑)。血液循環・呼吸・消化・代謝・体温維持・排泄などなどカラダの機能調節を、毎日、24時間、休まず、無意識のうちに、自動で行っている、スーパーコンピューターでも決して真似できないすばらしい神経です。
この自律神経は、日中活動するときや緊張・興奮するときに働く「交感神経」と、リラックスしているときに働く「副交感神経」の2つで構成されていて、双方が勝手にバランスをとりながらカラダの機能を調節してくれているのです。
しかし、「感情のコップ」が溢れそうになってくると、交感神経と副交感神経とのバランスが崩れ、カラダに様々な異変が……。これが、「自律神経失調症」です。
交感神経が働くと…… 【緊張】 |
副交感神経が働くと…… 【リラックス】 |
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ドキドキ早くなる →パニックを引き起こす |
心拍数 | ゆっくり安定する |
上がる →高血圧を引き起こす |
血圧 | 下がる |
分泌が増える →胃痛を引き起こす |
胃液 | 適量 |
固くなる →肩凝りを引き起こす |
筋肉 | 弛緩する |
浅く、早くなる →過呼吸を引き起こす |
呼吸 | 深く、ゆっくりになる |
眠りが浅くなり、疲れがとれない →不眠症を引き起こす |
睡眠 | 眠りが深くなり、休まる |
興奮する →頭に血が上る |
脳・神経 | 安定し、静まる |
めまい、吐き気、頭痛、耳鳴り、目のかすみ、下痢、生理不順、冷え性、しびれ、不眠、食欲不振、微熱……etc。自律神経はカラダのすべてをコントロールしてくれているので、あらゆるところにサインが出てきます。
このように、自律神経失調症は様々な症状として現れますが、少々やっかいなのが、病院に行ってもなかなか原因を特定できないこと。そのため、「どこがおかしいんだろう??」「何が悪いんだろう??」「どこかおかしいところがあるはずだ!!」など、あっちこっちの病院巡りにハマッてしまった方のお話をよく伺います。
ですが、これらの症状はシンプルに言うと、カラダが無理をしているというサイン。
「休むことも仕事のうち」です。少しでもいいので、ちゃんと癒したり、発散したりするような時間を持てるといいですね。
カラダのサインにちゃんと耳を傾けましょう。
様々なカラダのサインに気付いていても、なかなか休めなかったり、うまく切り替えができなかったり、忙し過ぎて余裕がなくなったりしてしまいます。この我慢がず~っと続くと……コップが一杯になってストレスが溢れてしまいます。
この状態がいわゆる「キレる」という状態。「キレる」状態は、大きく「パニック」と「うつ病」に分かれます。
ず~っと我慢して我慢して抑えていたものが一気に爆発するのがパニックです。パニックが外に向くと、秋葉原の事件のように人を攻撃してしまったり、暴れたり……。逆に内に向くと自分を傷付けてしまったり……。
一方、うつとは「これ以上頑張ったらまずい!」というときに、脳が自ら「安全装置」を働かせてスイッチを切ってくれた状態です。これはココロとカラダのすごい仕組みで、通常、下図のように脳の中のニューロン(脳細胞)の結合部分(シナプス)で受け渡しがされている「セロトニン」という神経伝達物質をストップさせてしまうんです。こうなると脳からカラダへ信号が伝わりませんので、ムリヤリ「やる気が出ない」「カラダがだるくて動かない」状態にされてしまいます。
うつの症状は、頑張ったあなたへの「いっぱい頑張ったんで、休みなさい」というメッセージ。人のカラダって本当によくできていますね。
カウンセリングではそんながんばったあなたの体と心をほぐしていきます。
まずは、下のイラストをご覧ください。何に見えるでしょうか?
インベーダーゲーム?パズルゲーム?ロボット?
ではこうしてみたらどうでしょうか?
見えましたよね(笑)。でも、一瞬で「LIFE」が見えた人は少ないのではないでしょうか?
一度見えてしまえば、何てことはありません。では、なぜなかなか見えないのか?少しご説明しますね。
私たちの脳は、特徴的なものや刺激が強いものにフォーカスされるようにできています。上のイラストで言えば、灰色の部分が強い刺激にあたります。そして、過去の体験した記憶の中から、一生懸命答えを探しだそうとしてくれます。そのため脳がなかなかそこから離れられず、すぐには「LIFE」の文字が見えないのです。
誰にでも過去に嫌な体験やつらい経験があるでしょう。それらは言い換えれば、“刺激が強いもの”。いつまで経っても、私たちはその刺激に囚われやすいのです。
少し思い浮かべてみてください。もし過去から離れることができたら、あなたはどんなに自由に思考、決断、行動できるでしょうか?ちょっと見方を変えて、時には特徴のないものを見てみることも大切です。今まで見えなかった何かが見えてくるかもしれませんよ。